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業の透過 | ||
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「中間搾取」「中抜き」「黒塗り」。 私たちの社会には、下層へ至る過程で、本来の姿を意図的に削ぎ落とされたモノ・報酬・情報が溢れている。 本作は、「中」という文字の口を貫く縦線を、何層にも重なる「平面」を貫通する一本の「軸」として再解釈した試みである。 本来、豊かな中身を持っていたはずの対象が、重層的な機構や組織という「平面」を通過するたびに搾取され、濾過される。最下流の出口に辿り着く頃には、それは細く、乏しく、不正確な残骸へと変貌を遂げる。これは経済的な搾取に留まらず、情報や真相といった「不都合な真実」が、見えない闇の中で操作・隠蔽されていく構造の暗示でもある。 あえて隷書や篆書という古典的な筆致を用いたのは、こうした歪みが現代特有の現象ではなく、人類史が繰り返してきた「業」であることを示し、逃れがたい歴史への諦観を投影している。 一見平面的に見える私たちの世界を俯瞰すれば、そこには無数の思惑や組織の力学、歴史の澱(おり)が地層のように積み重なり、強固な「立体の壁」を成していることに気づかされる。 数十年を経て公開された国家機密文書に、いまだ残る「黒塗り」の跡。それは、私たちが容易に打ち破ることのできない、歴史という名の平面の厚みそのものである。 |
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