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Awaken | ||
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2010年代、「差別や不平等への気づき」を意味した「Woke」という言葉は、今日では政治的文脈の中で歪められ、しばしば不寛容なイデオロギーや不誠実なパフォーマンスを揶揄する語へと変容してしまった。 しかし本作が主題とするのは、そうした外面的な潮流とは異なる、「真の覚醒=Awaken」である。本作では、その覚醒を「有」と「我」の融合として表現した。 ジル・ボルト・テイラー著『WHOLE BRAIN』によれば、左脳は社会的アイデンティティや秩序、疑念などの「後天的能力」を司り、右脳は創造性や喜び、無意識の根源に繋がる「先天的能力」を担うという。 この構造は、前作「コアとガワ」において示した、人が社会に適応するための外側の自己「ガワ」と、人間の本質である内側の自己「コア」に対応している。 造形において、 作品向かって左側(右脳的領域)には、外からは見えない内面世界を象徴する黒の塊を、無造作かつ非論理的に配置した。 対して右側(左脳的領域)には、社会へ向けた寛容や攻撃といった振る舞いを、技術的・意図的な線質で表現している。 一見すると全体は「我」の字に見えるが、「有」の月の部分には右脳的な塊、すなわちコアを、「戈」の部分には左脳的で外向きの自己、すなわちガワを想起させる造形と線質を与えた。 特に「戈」の縦斜線の中間部に揺らぎを与えることで、たとえ外向けの自己であっても、内なる本心との葛藤や、ネガティブな自動思考から逃れられない人間の機微を示唆している。 潤と滑、丸塊と鋭線。 相反する要素の対比の中に、内側の混沌(コア)と外側の秩序(ガワ)の両方を、矛盾したまま抱え込む必要がある現代を生きる私たちの心のありようと、私たちが求めるべき真の「目覚め(Awaken)」を描いた。 |
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